がんとオムツと反抗期。

ステージⅣの肺がん患者の義母と認知症疑いの義父、思春期の子どもに囲まれたもやもやを吐き出すために書いてます

お義母さんの髪を切りながら

診察の翌日、お義母さんの髪を切ってあげた。

ずっと「コルセットに挟まってじゃま」って言っていたから。

 

 

子どもの髪はともかく、大人の髪を切るなんて何十年ぶりだろう。

 

「失敗したらすみません」

 

「短くなればいいのよ」

 

ちょきちょき。ちょきちょき。

肩にかかる髪を耳の下まで切っていく。

素人床屋だけどなんとかなってる。

 

「お義母さん。旅行…行きますか?」

 

「旅行はいいわ。昔行ったし。仲良しのお友達と」

 

「どこに行ったんですか?」

 

「どこだったかしらね…」

 

「お姉さんやお兄さんに連絡しますか?」

 

「退院したって聞いたら喜んじゃうわね。治ったわけじゃないのに」

 

「会いたかったら…私、運転しますよ?」

 

「そうね…」

 

 

私が余命一年って言われたら会いたい人っているかな?って考える。

正直いないかも。

夫と子どもとの時間を大切にしようと思う。

 

逆に友達が「もう長くないかも」って聞いたとき。

会いに行こうと思えば会いに行けたのに行かなかった。

怖かった。

すごく痩せて面変わりしてたら、普通に話せるだろうか?

そもそもなにを話したらいいんだろう?

泣かれたらどう言ってなぐさめたらいいんだろう?

それに会いに行ったら本当に死んじゃう気がして嫌だった。

 

(治ったらまた会えるから大丈夫)

(必ず治る。死ぬわけがない)

と、自分に言い聞かせた。

 

結局、2か月くらいで彼女とは二度と会えなくなった。

 

お義母さんは会いたいのかな?

会いたくないのかな?

どっちでもいいのかな?

お兄さんやお姉さんには伝えなくていいのかな?

 

「死ぬ方」と「生きる方」の双方の言い分がきっとあって、どちらも大事だとは思うけど、深くは突っ込めない…。

 


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