がんとオムツと反抗期。

ステージⅣの肺がん患者の義母と認知症疑いの義父、思春期の子どもに囲まれたもやもやを吐き出すために書いてます

立ち直ったと思ったら立ち位置がずれた夫の話し

今まで夫の話しをしてこなかった。

メンタルやられすぎててツッコミづらかった。

そうだよね。

元気だと思ってた母親が本当は「死にそうな状態」だったんだから。

 

お義母さんががん告知を受けた頃の夫はぴりぴりしていた。

 

夫は健康診断で「メタボ気味」と言われていたけど、それまで気にもしていなかった。なのに、急にお酒も糖質もやめて、ダイエットをし始めた。

 

「健康の本」を読みまくって、ヨーグルトにオリーブオイルかけたり、玄米炊いたり、ゆでた鶏肉と野菜になぞの調味料を振って食べていた。

 

そのおかげで2か月かそこらで10kg痩せたけど、ウツっぽくなった。

 

お義母さんが病気になって死ぬのが怖くなったのかもしれない。

 

もしくは自分の体調にひたすら目を向けることによってお義母さんの病気という現実から目を背けたかったのかもしれない。

 

よくはわかんないけど、情緒不安定になった。

 

 

そして「骨盤にも脳にも転移しています」と医者に言われた日。

 

夫は何度も何度もため息をついた。おまけに

 

「もう大事な人が死ぬのを見るのは嫌だから…

おふくろより先に死んじゃおうかな…」

 

とつぶやいて寝込んでしまった。

 

 

 

翌朝目を覚ました時、夫は大きな声で

 

「面白いことになってきやがった!!!」

 

と言った。

 

 

ちょっと…いや、かなり怖かった。

 

もちろん面白くはないんだけど、そう思うことにしたらしい。

 

その後も波はありながらも、ちょっとずつ浮かび上がってきた。

 

ダイエットをやめて普通にごはんもお酒も口にするようになった。

(体重は落ちたままだけど…)

 

「糖分をカットするのはダメだな。ウツになるわ!」

と今は笑っている。

 

 

死でも失恋でもなにかを失って平気でいることなんてできない。

完全に元の自分に戻ることはできない。

損なわれた心の一部とも折り合いをつけて生きていくしかない。

 

「あきらめがついた」とは言っているけど、失うのは怖いよね。

 

 


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