遺影、yeah。
帰省した時、うちのおかん(実母)が言った。
「こないだ、あなたと一緒に撮った写真を遺影にしてね」と。
「え?そんなにあの写真、気に入ってるの?」
「うん。よく撮れてると思う」
「…死ぬ予定でもあるの?」
「若い頃の写真を使ったほうがいいじゃない♪」
現在の写真が「若い頃」って。
おかん…100まで生きる気だ…(いや、もちろん喜ばしいことだけど)
こんな風に自分の遺影について話したり、それを周りがギャグにしたりできるのって、近々死ぬご予定のないからな気がする。
こないだママ友が突然亡くなった時の遺影はほんとに彼女らしい素敵な写真だった。
義母は…どうだろう?
そもそも写真を撮る機会がほとんどない。
孫の誕生日やクリスマスにちょこっと写ってるくらいしかない。
でも。
「そろそろ、遺影とか撮っておきます?」
とか
「若い頃の写真でもいいので、お気に入りの一枚があれば…」
なんて言えるわけがない。
春に亡くなったおばあちゃんの遺影はたまたま数か月前にホームで撮ったものがあり、それがとてもいい顔をしていたので、遺影として採用された。
義母の写真…撮っておくか。
いや。今だと首にカラー巻いてるし、外してくれなんて言ったら、
(遺影の準備かしら…)
と思われるかな。
私だったら、病気になる前の元気な顔の写真がいいけど…あるかな?
そもそも、本人が見るわけじゃなし、こだわりがないなら、なんでもいいのか。遺影なんて。
誰もが死んだ時に遺影にぴったりの素敵な写真があるわけじゃなく、
(とりあえず、これで)
の人が大半だろうし。
ま、考えてもどうしようもないから、義母の遺影問題は置いておくとして。
おかんの遺影発言には続きがあった。
「おかあさん…お葬式で一つ、お願いがあるの」
「お願い!?〇〇宗の葬式は嫌だとか!?」
「まあ…それも嫌だけど…それじゃなくて」
「なに?」
「お通夜とかお葬式とかで故人にお別れを…とか言って、弔問客が棺の中を覗き込むの、あるでしょ?あれはやめてほしいの」
そこかーーーーーーーーーーーーーーー!!!
でもわかる。
今まで身内の、しかも年寄りの棺しか覗いたことなかったから、なんとも思わなかったけど、ママ友のお棺を覗いた時。
(こんな至近距離で家族以外の人たちに見られるの、やだな…)
って確かに思った!!!
そんなに親しくもない、例えば勤め先の上司とか夫の知り合いとかに、ごまかしのきかない寝顔(死に顔だけど)を間近で見られちゃうんだもんね。
死んでるとはいえ、ばっちりメイクとはいえ、私もやだわー。
わかった。
女の約束。
「おかんの棺は家族だけで覗く」
…20年後、覚えてたら。
(90歳までは元気な設定だから)